化学辞典 第2版 「ランダムコイル」の解説
ランダムコイル
ランダムコイル
randam coil
糸まり状高分子ともいう.鎖状高分子の運動単位として数個の主鎖結合からなるセグメントを考え,セグメントが次々につながったもので,合成高分子の溶液中での挙動を論じることができる.そのとき,セグメントとセグメントの連節点で,一方のセグメントのまわりにほかのセグメントが自由に回転できるものとして,得られた高分子の模型をランダムコイルという.また,その形態が糸まりに似ているので,糸まり状高分子ともよばれる.実際の高分子では,主鎖結合と主鎖結合がなす角や回転角に制限があるが,平均二乗鎖長などの特性値は,長距離相互作用を無視するかぎりは,定数因子を除いて等しく,ランダムコイル模型はよい近似といえる.生体高分子は貧溶媒中など,溶質間相互作用の強い系では,αヘリックス,β構造などの規則構造をとるが,そうでない系では不規則な形態をとる.これもランダムコイルとよばれる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報