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リバランス政策 りばらんすせいさく Rebalancing

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知恵蔵2015の解説

リバランス政策

バランスとは再均衡の意で、米国がこれまでの世界戦略を見直して、その重心をアジア太平洋地域に移そうとする軍事・外交上の政策のこと。米国オバマ大統領が、2011年11月のオーストラリア訪問時に、アジア・太平洋地域を「最優先事項の一つ」と述べたことを端緒に、米軍の配備再編成などで具体化された。日本・韓国・オーストラリアなどの同盟国との関係を再強化して軍事力の配備を最適化することで、「斬新で、コストが低く、フットプリントの少ないプレゼンス」を目指すという。
米国は歴史的に見ると、1828年に始まるモンロー主義を経て、19世紀末には帝国主義列強の一角として、主な軸足をアジア・太平洋に置いた。第2次世界大戦後の冷戦期にあっては、西側諸国の雄として「世界の警察」などと称し、各地の紛争に積極的に介入し国際的なバランスに多大な影響を及ぼすようになった。冷戦終結後には、唯一の超大国として、特定地域での覇権を維持することを主眼として、アメリカ中心の国際秩序の構築を目指してきた。しかしながら、米国の財政的負担の増大、中国の台頭、中南米の政治的・経済的状況の変化などによって、国際戦略の見直しを迫られるに至った。このような中で、オバマは共和党政権との争点として、大統領選において国際協調を掲げた。同大統領就任後、軍事・外交上の国際戦略として、イラクからの部分撤退などとともに打ち出したのがこのリバランス政策である。
アジアでは、中国のみならずインドなども経済的に成長してきており、将来的な資源や市場、軍事的優位性など、国際的な優先順位のリバランスをはかることが米国にとって不可欠の課題である。リバランス政策の具体的な内容は、中国との経済的関係を緊密に保ちつつも、近隣諸国への中国の圧力や影響力を最小限とするために、日本・韓国・オーストラリアなどとの軍事的同盟関係を強化し、アジア・太平洋地域での米軍の支配的な力量を維持することにある。大統領再選後間もない12年末には、タイ・ミャンマーを歴訪、カンボジア東アジアサミットに参加するなど、中国を牽制しながらアジア地域におけるプレゼンスを示した。環太平洋経済連携協定(TPP)についての強い推進姿勢も、中国の経済面での影響力をそぎ、アメリカ主導の経済圏を構築しようとする一連の流れの中に位置する。ただし、オバマ政権の外交政策には一貫性に乏しい部分もあり、同時期に進行した「アラブの春」が該当地域の状況を非常に不安定にしていることもあって、アジア・リバランス政策に、早くも見直しが進んでいるとの見方もある。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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