リンパ心臓(読み)リンパしんぞう

百科事典マイペディア 「リンパ心臓」の意味・わかりやすい解説

リンパ心臓【リンパしんぞう】

下等脊椎動物のリンパ系にある心臓様構造。ポンプ作用でリンパ液を全身に循環させる。魚類ではリンパ管の尾静脈への開口部両生類では胸部下腹部リンパ本幹爬虫(はちゅう)類では胸管にあり,鳥類では胚のみがもつ。哺乳(ほにゅう)類にはなく,かわりにリンパ節や弁によってリンパ液の逆流を防いでいる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンパ心臓」の意味・わかりやすい解説

リンパ心臓
リンパしんぞう
lymph heart

魚類,両生類,爬虫類,鳥類などにみられるリンパ液を循環させるためのポンプの役目を果す器官。リンパ管が静脈と合流する近くにあり,リンパ液の逆流を防ぐ。鳥類では胚期にのみあり,孵化後は退化する。哺乳類ではリンパ管に弁があるので,リンパ心臓を欠いている。

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世界大百科事典(旧版)内のリンパ心臓の言及

【リンパ管】より

…腸粘膜の絨毛(じゆうもう)から始まるリンパ管は,腸間膜の間を走り胸管に合流するが,消化時吸収された脂肪滴の乳糜(にゆうび)によりリンパ液が白濁しているので,乳糜管chyle ductともいう。リンパ液の流れは,哺乳類や鳥類ではリンパ管自体の収縮と随所にある弁の働きで逆流が防がれているが,爬虫類以下の下等脊椎動物では弁がなく,リンパ心臓lymph heartという特殊な装置がリンパ管にあって,そのポンプ作用による。リンパ系【花岡 正男】。…

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