工業化の過程で、都市部への労働者の移動により、農村における余剰労働力がゼロになる段階をいう。イギリスの経済学者アーサー・ルイスが1954年に提唱した。社会の工業化に際しては、農村部の余剰労働力が低賃金で都市部へ移動し、その発展を支える。しかし、農村部の余剰が解消されたあとは、労働力の供給が止まる。ルイスの転換点を超えると、賃金上昇、労働力不足、インフレーションにより経済成長は鈍化する。その後も高い経済成長を遂げるためには産業の高度化、イノベーション(技術革新)による1労働者当りの生産量の増大などが必要になる。日本は1960年代に転換点を迎えたとされる。中国では、2010年ごろから、沿岸部の工業地帯では賃金上昇、労働力不足が観測されている。農村における余剰労働力も減少しており、ルイスの転換点に差しかかっているとみられている。2012年以降は「元高ドル安」も進んだため、輸出を目的とする外資系工場による新規立地は、中国からベトナムやタイなど東南アジア諸国にシフトし始めている。
[編集部]
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