改訂新版 世界大百科事典 「ルーマニーユ」の意味・わかりやすい解説
ルーマニーユ
Joseph Roumanille
生没年:1818-91
近代南フランスのプロバンス語(オクシタン)の詩人,コント作家。彼は〈プロバンスの優雅な言語の絶えなんとする〉のを惜しんで,まず詩集《雛菊》(1847)を出版した。続いて刊行した詩集《プロバンスの娘たち》(1851)には,ルーマニーユ自身の作品以外に,同時代の詩人たちの作も多く収められているが,この詩集は,〈南仏語の失地を回復し〉,詩人を糾合して文学復興運動〈フェリブリージュ〉を創設するのに大きな力となった。作品には,《雛菊》のほかに,《散文小品集》(1858)や《韻文小品集》(1862)などがあるが,文学的評価は必ずしも高くない。しかしルーマニーユが幼い天才詩人ミストラルを発見してこれを育成し,万難を排して文学復興運動〈フェリブリージュ〉の創設に努めた意義は極めて高い。なお〈フェリブリージュ〉の運営をめぐって,オーバネルとの間に,実務家と詩人の確執があったことを付け加えておく。
→プロバンス文学
執筆者:杉 冨士雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報