日本大百科全書(ニッポニカ) 「レオ(9世)」の意味・わかりやすい解説
レオ(9世)
れお
Leo Ⅸ
(1002―1054)
ローマ教皇(在位1049~54)。前名ブルノーBruno。アルザスの名門エーギスハイム伯家に生まれる。皇帝コンラート2世に仕えたのち、トゥール司教(1027~51)となり、その在任中に皇帝ハインリヒ3世から教皇に指名された。登位後は、皇帝との協調関係を保ちつつ教会の改革を推進。教皇座に改革者を集め、教皇座の組織を強化し、多くの修道院をローマに結び付け、各地に改革的教会会議を開いてシモニー(聖職売買)と聖職者妻帯の禁止の徹底に努めた(グレゴリウス改革の開始)。また教皇座を脅かす南イタリアのノルマン勢力と戦い、一時捕虜となった(1053)。彼の下で、かねてから進行していた東西教会の分離が決定的となった。
[野口洋二]