レザーストッキング物語(読み)レザーストッキングものがたり(その他表記)Leather-Stocking Tales

改訂新版 世界大百科事典 「レザーストッキング物語」の意味・わかりやすい解説

レザーストッキング物語 (レザーストッキングものがたり)
Leather-Stocking Tales

アメリカの小説家J.F.クーパーの《開拓者》(1823),《モヒカン族の最後の者》(1826),《大草原》(1827),《探検者》(1840),《鹿狩り人》(1841)からなる5部作。共通する主人公ナティ・バンポーがいつも革脚絆を着用している姿から,このシリーズの名称が生まれた。クーパーは最初の3作では,白人インディアンの両人種の美徳を備えたナティ・バンポーが,押し寄せる文明の前に敗れ去る姿を歴史の必然として描いている。しかし《大草原》から10年余の間にアメリカの民主主義が,いわゆる西部的無法の姿を呈してきたのを見たクーパーは,最後の2作で再び若いころのナティを登場させてこの姿を批判した。彼はまたこれらの小説の背景に独立革命前後のアメリカの開拓の歴史,フレンチ・インディアン戦争に登場する多様なインディアンの部族を用いて,新ジャンルを開いた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレザーストッキング物語の言及

【クーパー】より

…つまり森と海という二つの辺境,そして植民時代,独立革命を含むアメリカの過去を〈アメリカ〉文学の題材として開拓し,また後続の作家たちに道を開いた。彼の最も有名な作品は《レザーストッキング物語》(1823‐41)であるが,上述二つの題材を生かしながらナティ・バンポーという主人公を通して,民主主義という新しい政体と社会の重要性とそのなかに含まれる危険を指摘し続け,その指摘は今日の世界にそのままあてはまるところが多い。【原田 敬一】。…

※「レザーストッキング物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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