一ノ井(読み)いちのい

日本歴史地名大系 「一ノ井」の解説

一ノ井
いちのい

犬上川左岸の現甲良町金屋かなやの地先一ノ井に取水口を置く井堰。設置時期は古くにさかのぼり、その重要性は中世に六角氏の臣楢崎太郎左衛門が楢崎ならさき山に陣所を設け、京極導誉が勝楽寺しようらくじ山に居城を設けて犬上川流域を制したことなどからもうかがえる。井堰は犬上川の扇状地の要にあり、灌漑区域は一ノ井郷一七ヵ村と称され、現甲良町の金屋下之郷しものごう北落きたおち横関よこぜき小川原こがわら法養寺ほうようじ長寺おさでら池寺いけでら在士ざいじ呉竹くれたけ、現彦根市の葛籠つづら法士ほうぜ、現豊郷とよさと町の四十九院しじゆうくいん石畑いしばたけ八目はちめ八町はつちよう雨降野あめふりのである。明治一八年(一八八五)調書(甲良町史)では、この総石高は一万四千六石余、家数二千一四九・人数一万八に及ぶ。

井堰は犬上川の川幅いっぱいに堰止めて造られ、長さ四〇間・幅四間・高さ三尺で、堰の中央に除川とよぶ幅四間の水量調節の仕掛けが設けられていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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