朝日日本歴史人物事典 「一平安代」の解説
一平安代
生年:延宝8.4.19(1680.5.17)
江戸中期の薩摩(鹿児島県)の刀工。一平安貞の子で,父および波平安国に鍛刀を学んだ。安代が活躍したのは元禄(1688~1704)後の平和な時期であり,刀剣の需要が少なく刀工不遇の時代であった。8代将軍徳川吉宗は武芸奨励策をとり,その一環として,全国の優秀刀工名簿を作り,さらに優れたものは江戸に召して,将軍の御前で作刀させたが,この薩摩から安代と主水正正清のふたりが選ばれ,享保6(1721)年1月,浜離宮で作刀し,その功により,銘に一葉葵紋を切ることを許され,また帰国の途,京都で主馬首の官名を賜った。作品は刀,脇指が主で,身幅が広い豪壮なものが多く,鍛えは板目に柾目を交え,刃文は直刃が浅く湾れ,互の目を交え沸が深くつくのを特徴としている。<参考文献>『薩摩刀名作集』
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報