日本大百科全書(ニッポニカ) 「一次産品共通基金」の意味・わかりやすい解説
一次産品共通基金
いちじさんぴんきょうつうききん
Common Fund for Commodities
緩衝在庫を保有するための資金の融資を目的とする国際組織。1989年設立。略称CFC。1976年の国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))第4回総会で、開発途上国が輸出関心をもつ一次産品の価格安定・輸出所得の改善を目的として、CFCの設立、個別産品についての国際緩衝在庫制度による価格対策、輸出統制と多国間長期契約などの国際的措置の適用をおもな内容とする一次産品総合計画(IPC)が採択された。このうちCFCについては、その後UNCTADで交渉が行われ、1980年に設立協定が採択され、1989年6月19日に発効した。
CFCは、加盟国からの出資金などをベース(基礎)に、国際商品協定にかかわる国際緩衝在庫および国内在庫に対して融資を行う第一勘定(第一の窓)と、一次産品の研究開発、生産性改善、市場開拓などのプロジェクトに贈与または貸付を行う第二勘定(第二の窓)を有している。しかし、第一勘定は、国際緩衝在庫を有する唯一の国際商品機関である国際天然ゴム機関(INRO)が融資を受ける意思を示していないため、具体的活動は開始されていない。また、INROは国際天然ゴム協定(INRA)に基づいて設立されたが、INRAが1999年10月をもって終了したため、現状、緩衝在庫制度を有している国際商品協定は存在しないことになる。
CFCは最高意思決定機関としての総務会のほかに、理事会、専務理事、第二勘定のための協議委員会の各組織があり、本部はアムステルダムに置かれている。2019年7月時点で、101か国とヨーロッパ連合(EU)、アフリカ連合(AU)、東南部アフリカ共同市場(COMESA)などの9の国際機関が加盟している。
[横川 新・前田拓生]
日本は2012年(平成24)に脱退した。
[編集部]