一統志(読み)いっとうし(英語表記)Yī tǒng zhì

改訂新版 世界大百科事典 「一統志」の意味・わかりやすい解説

一統志 (いっとうし)
Yī tǒng zhì

中国の伝統的な全国地理書の名。一統とは天下が一つの政権のもとに統一されること,さらにその天下全体のこと。中国では古い時代から全国各地の風俗,沿革などを記した地理書を《九州志》《郡国志》などのさまざまな名称で呼んできたが,元代に《大元一統志》がつくられ,以後明・清代におのおの《大明一統志》《大清一統志》がつくられ,一統志といえば官製の全国地誌を指すようになった。《大元一統志》の序文によれば,それまでの王朝とは異なり,もとは東アジアより中央アジア,北アジアにかけて,本当の意味での統一国家を完成させたという自負をこめて《一統志》と名づけたという(《圭塘小稿》)。これは1291年(至元28)西域人のジャマール・アッディーン(札馬剌丁)などの手により755巻が完成し,のち補足されたものを併せると1300巻にものぼる大部なものであった。今は散逸し,一部の残巻や,のちの地理書に引用されているのをみるにすぎない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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