アメリカの作家ホーソンの長編小説。1851年刊。ピンチョン大佐は、モールという男を魔法使いとして処刑し、彼の土地を奪って七つの破風のある屋敷を建てる。モールの呪(のろ)いのせいか、一家は2世紀の間に衰え、現在、老兄妹クリフォードとヘプジバー、遠縁の娘フィービー、下宿人ホールグレーブだけが屋敷に住む。兄妹を脅かす偽善者のいとこピンチョン判事は、モールの呪いどおり変死。最後にモールの子孫にあたるホールグレーブがフィービーと結ばれ、両家の宿怨(しゅくえん)は解ける。作者の先祖が、17世紀末セーレムの魔女裁判判事を務め、被告に呪われたという伝説に基づき、新旧二つの時代の対比をテーマとしている。
[島田太郎]
『大橋健三郎訳「七破風の屋敷」(『世界文学大系81』所収・1966・筑摩書房)』
…このころメルビルと知り合い,互いに大きな影響をうける。《七破風の屋敷》(1851)は,1692年セーレムの魔女裁判に際し,ホーソーンの4代前の先祖が判事として過酷な判決を下し,被告に呪われたという伝説に基づき,先祖の罪が子孫に及ぼす重圧を考えた傑作。続く《ブライズデール・ロマンス》(1852)は,ブルック・ファームでの体験を素材に,人類愛に燃え犯罪者の更生施設をつくることを夢見ながら,自分の計画におぼれるあまり人間性を失う男を主人公に,黒髪と金髪の異母姉妹の葛藤を描き緊密な構成を誇る。…
※「七破風の屋敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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