改訂新版 世界大百科事典 「万国図」の意味・わかりやすい解説
万国図 (ばんこくず)
世界の国々を描いた地図。17世紀から19世紀末ごろまでは,世界図もしくは世界全図の意味で,万国総図,万国全図などの用語が用いられた。現在,100万分の1国際図international map of the world on the million scale(略号IMW)の略称としても用いられる。
100万分の1国際図
1881年のベルンにおける第5回国際地理学会議で,A.ペンクが統一された縮尺,図法,記号などによる国際的な地図の作成を提唱したのに始まり,その後第1回IMWの会議が1909年にロンドンで開催され,20年にはイギリスの測量局Ordnance Surveyに中央事務局が置かれた。各国は自国および植民地または勢力圏の地図作成を行い,日本は39年に当時の全領土の地図を完成している。第2次大戦後は中央事務局は国際連合の地図課に移り,若干図式の改定が行われた。現在,日本では3図葉で全国を覆う100万分の1国際図が国土地理院から発行されている。この地図は,世界に共通する基本図ともいうべきもので,世界の主要国の大部分をカバーし,これを基図とする人口図,土地利用図なども,国際地理学連合や国連の地域地図会議などの提唱で,一部の地域では作成されている。
執筆者:高崎 正義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報