…8世紀には,唐,新羅,渤海の使節が来訪すれば,朝堂院において天皇出御のもとに宴が開かれるのが例であったし,《懐風藻》で知られるように,長屋王は自邸に新羅使節を招いて詩賦の宴を催している。年初に行われる二宮(中宮と東宮)大饗,大臣大饗などは,年中行事としての宴ではあるが,直属の臣下あるいは一族の高官を招いて開く宴であるから,一面では賓客に対するもてなしとしての性格をもっており,3夜連続して行うのを通例とする結婚の宴は,通過儀礼にともなう宴であると同時に,賓客へのもてなしの宴でもあって,後に述べる三日厨(みつかくりや)に通ずるところがある。 乏しい史料によって知られる在地,庶民の催す宴会としては,やはりまず農耕儀礼に基づく年中行事として,地域の共同体が行うものがある。…
…その一は,公的任務を負った使者などが,国家の施設である駅を利用し,食料・馬匹・役夫などの提供を受けることを意味する〈供給〉で,平安時代の半ば以降には,荘園領主や荘官が荘園内に派遣する使者が,行くさきざきで食料・馬匹の提供を受けることをも〈供給〉といった。その二は,そうした使者が目的地に到着したのち,その土地の人たちから酒食のもてなしを受けることを意味する〈供給〉で,こうした供応は3夜連続して行われるのが例であったから,これを三日厨(みつかくりや)・落付(おちつき)三日厨ともいった。〈落付〉は到着の意味である。…
…現地の荘官は荘域外に一行を迎え,〈坂迎え〉と称する宴を設けて旅の労苦をねぎらった後,荘内に案内した。彼らは27日間滞在して検注を行ったが,最初の3日間は〈三日厨(みつかくりや)〉と称して盛大な供宴が行われ,その後は〈平厨〉と称する普通の供応が行われた。〈三日厨〉〈平厨〉の27日間の主食料,酒肴料,薪料,飼馬料,検注使滞在のための仮屋建設費など,雑多な経費の総額は銭63貫文余に及び,それらはすべて荘官をはじめ荘園住民の負担であった。…
…こうした引出物とされた物からみて,この行為は本来,みずからの分身ともいうべき動物,物品を贈ることによって,共食により強められた人と人との関係を,さらに長く保とうとしたものと思われる。また貴人を迎え,3日間にわたって饗宴を行う三日饗,三日厨(みつかくりや)の慣習もひじょうに古くさかのぼるものと思われるが,そのさいにも引出物が贈られた。《今昔物語集》の〈芋粥〉において,五位を迎えた利仁将軍が,綾,絹,綿,馬,牛を贈ったのもその例になるが,荘園公領制下,検注,勧農,収納のために下ってくる預所(あずかりどころ)などを迎える三日厨のさいの引出物は,公事(くじ)として現地の人の負担とされた。…
… このように相手を招いて宴会を催し,酒食を供したうえで,引出物を贈るもてなしは,公家・武家を通じ,大饗や埦飯(おうばん)などさまざまな形で行われ,饗応してもてなす側は,共食,贈与を通じて相手との人間関係を強めることを目的としていた。中世の荘園,公領では,現地に下向してくる預所,地頭,その代官,検注・内検・勧農・収納などの使に対し,三日厨(みつかくりや)をはじめとするもてなしをするのが荘官,百姓の義務であり,公事(くじ)とされていた。これは来訪神,貴人に対する古くからのもてなしの習俗を根底にもっているものと思われる。…
※「三日厨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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