三輪市(読み)みわのいち

改訂新版 世界大百科事典 「三輪市」の意味・わかりやすい解説

三輪市 (みわのいち)

日本古代または中世の市。〈武州文書〉応永22年(1415)写しの市場祭文(延文6(1361)年9月9日付)によると,市の始めは三輪市にありとし(近江愛智川の長野市でも同じ伝えがある),諸国の市が神によって開かれたことを述べている。これは三輪市も特定の神社と関係をもったことを示唆する。このような観点から,比定地として2案が考えられる。第1は,現,桜井市三輪字市尻で,大神(おおみわ)神社参道近くにあたる。第2は,横大路と中ッ道の交点で,三輪神社市杵島(いちきしま)神社が存在する。市杵島姫はふつう市神としてまつられる。後者の場合,その立地からみて三輪市の起源は古代にさかのぼり,海柘榴市(つばいち)とは別の市ということになる。前者の場合,大神神社の門前市として成立したと考えられる。海柘榴市の史料が11世紀までに多く,三輪市のそれが13世紀以降に多い点からみて,海柘榴市が移転して三輪市となったか,もしくは別個に成立した三輪市の発展とともに海柘榴市の主要部分が移動合体したのであろう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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