横大路(読み)よこおおじ

日本歴史地名大系 「横大路」の解説

横大路
よこおおじ

桜井市大字外山とびから橿原かしはら八木やぎ町を経て北葛城郡當麻たいま町大字長尾ながおに至る全長約一三キロの古代からの道。ほぼ東西一直線に通じ、西端で二上山の南を通る竹内たけのうち街道と二上山の北を越える長尾街道に接続する。長尾街道は二上山北麓を越える所で穴虫あなむし(北葛城郡香芝町)を経て磯長しなが(大阪府南河内郡太子町)に出る道(大坂道)を分岐する。

道沿いには大道おおみち(當麻町大字竹内)・横大路(大和高田市北片塩町)大路堂おおじどう(橿原市曾我町)大道だいどう(橿原市小綱町)西横内にしよこうち(桜井市大字大福)・東横内(桜井市大字東新堂)・横内(桜井市大字戒重)などの地名が遺存する。


横大路
よこおおじ

「吾妻鏡」文治元年(一一八五)五月一六日条に、捕らえられた敵将平宗盛が鎌倉に送られ、「経若宮大路、至横大路、暫扣輿、宗親先参入、申事由、則被入営中之旨」と記されているのを初見として、同書には将軍の大倉おおくら幕府近くに横大路のあったことを記す例が幾つかある。

「風土記稿」はじめ江戸時代の地誌類は、当時の雪下ゆきのした村の小名横小路よここうじによって、鶴岡八幡宮の今の三ノ鳥居前、境内地に沿ってほぼ東西に走り、宝戒ほうかい寺前に至る道路が横大路であったとしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「横大路」の意味・わかりやすい解説

横大路 (よこおおじ)

大和盆地を東西に走る古道。桜井市仁王堂の寺川に架かる小西橋から,葛城市の旧当麻町の長尾神社付近に至るまで(約12.7km),ほぼ真東西に走る直線古道である。そのため,横大路は,大和盆地を南北に縦走する下ッ道と同様,条里施行に際しての基準線となっており,その路幅が条里に含まれない(横大路に南接する1町は,大和平野の1町の平均値109mより,かなり広くなっている)。下ッ道から東の路東条里を例にとると,横大路は24条の2,11,14,23,26,35の坪並みと,3,10,15,22,27,34の坪並みの間を走っている。3000分の1の地図で計測すると,横大路の道幅は28m強である(ただし,この数値は,路幅と両側溝,さらにその外側の余剰帯をも含んでいる)。《日本書紀》巻二十八に,壬申の乱に際して,横大路が戦闘の舞台になった記述がある。ただし,文献史料に〈横大路〉の名称がみえるもっとも古い例は,1193年(建久4)の〈葛下郡平田御荘総追捕使清原正秀注進状〉である。横大路の設置時期は,613年(推古21)とみてよいが,6世紀代の諸宮が横大路に近接して営まれている事実に注目すると,613年に,従来から存在した道を整備して,直線古道としたとみるべきだろう。なお,横大路は,近世には初瀬街道伊勢街道と称されてにぎわい,現在もよく残っている。
飛鳥
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「横大路」の意味・わかりやすい解説

横大路
よこおおじ

東西に直線に走る基幹道を広く横大路という。なかでも有名なのは、大和盆地南部の横大路で、東端の桜井市外山(とび)から橿原市(かしはらし)八木町を経て、西端の葛城市(かつらぎし)長尾まで、全長13キロメートルの古代にさかのぼる道である。西では二上山(にじょうさん)を越えて河内(かわち)に入り難波(なにわ)への官道に通じ、東は初瀬道から伊賀に向かう。『日本書紀』推古天皇21年(613)条に「難波より京に至る大道(おおみち)を置く」とある大道の一部がこの横大路で、また壬申の乱(じんしんのらん)の舞台にもなった。このほか横大路の痕跡や地名を残すものに、大和盆地北部の斑鳩(いかるが)から添下(そうのしも)・平群(へぐり)両郡の境界を通って闘鶏(つげ)に至る東西道があり、大津京や長岡京でも東西の幹線道を横大路と称した。

[狩野 久]

『岸俊男著「古道の歴史」(坪井清足・岸俊男編『古代の日本 5』所収・1970・角川書店)』

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世界大百科事典(旧版)内の横大路の言及

【道】より

…今日においては主要都市からしか進入できない自動車専用道路の出現をみるに至っている。【古島 敏雄】
【古代の道の特徴】
 自然の道の例として,大和のプレ横大路(よこおおじ),山辺の道,葛城(かつらぎ)古道があげられる。プレ横大路は,後でとり上げる横大路のやや北を走っていた道で,三輪山のふもとと二上山のふもとを結ぶ道である。…

※「横大路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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