市神(読み)いちがみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

市の取引の無事や福を与えると信じられている市の守護神。祭神は,エビスガミ,オオクニヌシノミコト,ヒコホホデミノミコト,コトシロヌシノカミ,イチキシマヒメノミコトなどとされる。神体は円形の自然石が多く,その他,石製,木製の六角柱1本のものもある。現在ではそのほとんどが,村落の神社境内に残されている。正月 10日頃に多く市神祭が行われる。

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百科事典マイペディアの解説

市場にまつられる神。蛭子(ひるこ)神,彦火火出見(ひこほほでみ),大市姫,市杵島(いちきしま)姫,事代主(ことしろぬし)命,大国主命などを祭神とするが,本来は道の神の信仰ともまじり,自然石,石碑(市神のや陰陽一対を刻む)などを市の幸を与える神として信仰していた。年初歳末に市神祭を行う。

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世界大百科事典 第2版の解説

市取引の平穏を守護し,その場に集う人々に幸をもたらすと信ぜられる神。市姫ともいう。古く795年(延暦14)藤原冬嗣が宗像大神を都の東・西市にまつったという伝説があり,宗像三女神の市杵島(いちきしま)姫の〈市〉にちなんで祭神としたものか,この例は多い。ついで大市姫,大国主命,事代主命などをまつる例が目立ち,恵比須大黒をまつる例もある。もともと祭神が定まっていたとは思われず,神体も卵形,丸形の自然石とか,木の六角柱などが原初的な姿と考えられ,陰陽1対の石からなる例もある。

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大辞林 第三版の解説

市場の守護をする神。祭神は市杵島姫命いちきしまのひめのみことが多く、事代主命・大国主命・恵比須・大黒などもまつられる。神体は円形・卵形などの自然石で、神社の境内などにあるが、本来は市の開かれる場所の路傍にまつられていたものと思われる。いちのかみ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

市は交易を行う所であり、人々の生活と密接なつながりをもつ所である。この市の事業と、その場の安全を守護してくれるものと信じられている神。小さな祠(ほこら)や、市神を彫った石柱もあるが、古くは丸い石であったらしい。村の境、船着き場、橋のたもと、四つ辻(つじ)など、境界を示す場所に祀(まつ)られていることが多い。そのあり場所から、かつてそこで市が開かれていたことが推測される。市神の神名は、西日本ではえびす神とか厳島(いつくしま)神社の祭神、市杵島姫(いちきしまひめ)などが多いが、東日本では大国主命(おおくにぬしのみこと)などもあって、さまざまである。特定の祭日を決めている所は少ないが、正月の蔵(くら)開き・小正月などに、市神を祀り、1年の商運を占う所もある。市神は女性巫者(ふしゃ)イチと相通じ、女性神であるという伝承もある。[鎌田久子]
『北見俊夫著『民俗民芸叢書56 市と行商の民俗』(1970・岩崎美術社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 市(いち)の立つ場所にまつり、その場所を守護するとともに、幸運をもたらすとされる神。神体はたいてい円形の自然石で、卵形、石柱形など種々あり、「市神」の文字を刻んだものもある。市の神。
※琉球神道記(1608)五「末に蛭児明神、世に市神と崇む」

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世界大百科事典内の市神の言及

【市】より

… 市には市姫神として市杵島(いちきしま)姫がまつられたが,のちには戎神(夷)がまつられるようになり,市場祭文が唱えられた。新市が開催されるときには,どこかの市から市神(いちがみ)を勧請してくるのが常であった。また例えば,近江国長野市は〈当国の親市〉と称したが,市相互の間にかかる本末関係があったものと思われる。…

※「市神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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