三野城(読み)みのじよう

日本歴史地名大系 「三野城」の解説

三野城
みのじよう

「続日本紀」文武天皇三年(六九九)一二月四日条に稲積いなづみ城とともにみえる城の名。このとき大宰府に命じて、三野・稲積の二城を修築させている。両城の所在地に関しては、北部九州説と南部九州説がある。北部九州説の代表的なものは、当城を筑前国那珂郡海部あま郷にあった美野駅(現在の福岡市博多区住吉付近にあったとされる)周辺に、稲積城を筑前国志麻しま郡の稲留いなどめ(現福岡県志摩町)、あるいは現志摩しま町にある標高二四四メートルの火山に比定するものである。一方、南九州説は当城を日向国児湯こゆ三納みのう郷に、稲積城をのちの大隅国桑原くわばら郡稲積郷(現在の鹿児島県国分市周辺など諸説ある)に比定するものである。古代に築造された城や柵とよばれる防衛施設の名称は郡名や郷名に一致する場合が多いことと、また当時の対隼人政策が重要な政治課題となっている情勢から考えて、南九州説のほうが有力と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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