日本大百科全書(ニッポニカ) 「三野」の意味・わかりやすい解説
三野(香川県)
みの
香川県中西部、三豊郡(みとよぐん)にあった旧町名(三野町(ちょう))。現在は三豊市の北東部を占める一地区。1955年(昭和30)下高瀬(しもたかせ)、大見(おおみ)、吉津(よしづ)の3村が合併して三野村となり、1961年町制施行。2006年(平成18)高瀬(たかせ)、山本(やまもと)、豊中(とよなか)、詫間(たくま)、仁尾(にお)、財田(さいた)の6町と合併して市制施行、三豊市となる。JR予讃(よさん)線、国道11号が通じ、高松自動車道の三豊鳥坂インターチェンジがある。旧町名は古い郡名による。旧町域の中央を高瀬川が北流し、沖積平野は水田となっている。野菜、果樹の栽培も盛んで、レタス、タマネギ、モモなどが特産である。北部は備讃(びさん)瀬戸の三野津湾に臨み、東部と西部は山地で、東部の弥谷(いやだに)山(382メートル)の中腹には四国八十八か所の第71番札所弥谷寺がある。火上山(ひあげやま)や七宝山(しっぽうさん)の山麓(さんろく)はブドウやミカンの樹園地になっている。俗に高瀬大坊(たかせだいぼう)とよばれる本門寺は10余りの堂宇を数える。11月に境内では大坊市が立ち、名物行事になっている。三野津湾上の津島へは海岸から橋(245メートル)が架けられ、8月の津嶋神社の祭礼には予讃線の臨時駅が設けられる。
[稲田道彦]
『『三野町誌』(1980・三野町)』
三野(徳島県)
みの
徳島県北西部、三好郡(みよしぐん)にあった旧町名(三野町(ちょう))。現在は三好市の北東部を占める一地域であるが、他の地域とは、東みよし町を挟んで飛地となっている。旧三野町は、1924年(大正13)町制施行。2006年(平成18)池田、山城、井川の3町および東祖谷山(いややま)、西祖谷山の2村と合併、市制施行して三好市となった。讃岐(さぬき)山脈南麓(ろく)、吉野川北岸の小扇状地上に立地する。『和名抄(わみょうしょう)』の三野郷の地。中心地区は撫養(むや)街道に沿う芝生(しぼう)。ハッサクやクリ、シイタケなどの林産物もある。山間の集落ではかつて北の真鈴(ますず)峠を越えて、讃岐(香川県)への通婚が多く、また香川県の農家へ出稼ぎに行く借耕牛(かりこうし)の習俗が昭和30年代まであった。加茂野宮(かものみや)地区の滝寺(たきじ)は鎌倉時代の創建で、木造聖観音(しょうかんのん)立像は国指定重要文化財。
[高木秀樹]
『『新編三野町史』(2005・三野町)』