改訂新版 世界大百科事典 「三雲遺跡」の意味・わかりやすい解説
三雲遺跡 (みくもいせき)
福岡県糸原市の旧前原市三雲にある弥生時代から古墳時代前期の遺跡群。糸島平野の南寄りの微高地にあり,1822年(文政5)に甕棺墓から前漢鏡35面をはじめ,ガラス璧(へき),勾玉,管玉,有柄銅剣,銅矛,銅戈などが発見されており,この記録である青柳種信の《柳園古器略考》と共に有名。天明年間(1781-89)にも近くの井原鑓溝(やりみぞ)から後漢鏡21面や巴形銅器,鉄刀などが発見されている。1974年以後の福岡県教育委員会の発掘調査によって,1822年の出土地点を確認すると共に,同地点の出土品に金銅製飾金具などが追加されると同時に1基の甕棺墓を発見し,前漢鏡約20面,ガラス・ペンダント,勾玉13個が副葬品として出土した。そのほか周辺では,弥生初期の支石墓や全期間の住居跡群と古墳時代前期までの墳墓群が調査された。住居跡の出土品としては,土器群のほかに多くの鉄器やファイアンス玉など玉類が目立っている。遺跡は,伊都国の中心地とされている。
執筆者:柳田 康雄
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