伊都国(読み)イトノクニ

デジタル大辞泉 「伊都国」の意味・読み・例文・類語

いと‐の‐くに【伊都国】

弥生時代、九州北部にあったという国。邪馬台国やまたいこく従属。中国大陸・朝鮮半島との往来の中継地であったといわれる。伊都

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精選版 日本国語大辞典 「伊都国」の意味・読み・例文・類語

いと‐の‐くに【伊都国】

  1. 魏志倭人伝」によって、彌生時代、九州北部にあったと考えられる国の名。千余戸から成り、世襲の王がいて、邪馬台(やまたい)国に服属し、中国大陸、朝鮮半島との中継地点となっていたと見られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「伊都国」の意味・わかりやすい解説

伊都国 (いとこく)

3世紀の邪馬台国の時代に倭にあった小国一つ。後の筑前怡土(いと)郡,今の福岡県糸島郡。その中心は,三雲井原の地とみなされている。《魏志倭人伝》によると伊都国は,末盧(まつら)国の東南陸行500里の地点にあって,その国の官に爾支(にき),泄謨觚(せまこ)があり1000余戸の人口があって,代々王がいたけれども,みな女王国に統属し,帯方郡使者が往来するのに当たって,常にこの国にとどまったという。一大率(いちだいそつ)の駐留した国。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊都国」の意味・わかりやすい解説

伊都国
いとこく

福岡県糸島郡付近に比定される弥生(やよい)時代の国。『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』に「女王国より以北にはとくに一大率(いちだいそつ)を置き諸国を検察す。諸国之(これ)を畏憚(いたん)す。常に伊都国に治す」とあり、邪馬台(やまたい)諸国のなかで政治、外交上重要な地位を占めていた。戸数は1000余戸あり、長官を爾支(にき)、副官を泄謨觚(せもこ)、柄渠觚(ひここ)といい、帯方(たいほう)郡使が常駐。この地にある三雲(みぐも)王墓は前1世紀中ごろと推定されるほか、井原(いはら)、平原(ひらばる)遺跡などで原始王墓がみられる。また、南朝鮮系支石墓が多く散在し、志登(しと)支石墓群からは縄文晩期の夜臼(ゆうす)式甕棺(かめかん)、朝鮮系磨製石器などが採集され、縄文晩期ころより朝鮮との交渉が確認される。奴(な)国とともに漁業交易に活躍し、邪馬台国以前から繁栄した古代国家である。

[井上幹夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊都国」の意味・わかりやすい解説

伊都国
いとこく

邪馬台国をはじめ 30ヵ国あまりからなる国連合の一つ。「魏志倭人伝」の記事に名が見え,この地には諸国を検察するための一大率(いちだいそつ)と呼ばれる地方官が置かれた。彼らは朝鮮半島諸国や帯方郡との外交にもあたった。場所は福岡県糸島市怡土にあたる。

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百科事典マイペディア 「伊都国」の意味・わかりやすい解説

伊都国【いとこく】

魏志倭人伝》にみえ,3世紀,(わ)にあった小国。末盧(まつら)国の東南陸行500里の地にあり,人口1000余戸,王は女王国に服属していたという。後の筑前(ちくぜん)国怡土(いと)郡,現福岡県糸島郡の地とみられている。
→関連項目投馬国

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「伊都国」の解説

伊都国
いとこく

「魏志倭人伝」に記される邪馬台国(やまたいこく)連合の1国。中心的位置を占め,朝鮮半島の帯方(たいほう)郡からの使いはここにとどまり,先へは赴かなかったらしい。伊都国を境に倭人伝の旅程記事に変化のみられることから,以後の国々への道筋は,直線的に読むのでなく,伊都国を中心に放射状に読むべきであるとする説がある。またここには一大率(いちだいそつ)がおかれ,諸国を検察する任務を負い,畏(おそ)れられた。筑前国怡土(いと)郡(現,福岡県糸島市)に所在したとみられる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「伊都国」の解説

伊都国
いとこく

『魏志』倭人伝に記載された,3世紀中頃,北九州にあった小国
現在の福岡県前原市深江付近にあったと推定され,戸数1000余,代々王がいた。交通の要地にあり,邪馬台国から派遣された一大率 (いちだいそつ) という官人が常駐し,邪馬台国以北の国ぐにを検察した。外国貿易の中継地の役割も果たした。

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世界大百科事典(旧版)内の伊都国の言及

【三雲遺跡】より

…住居跡の出土品としては,土器群のほかに多くの鉄器やファイアンス玉など玉類が目立っている。遺跡は,伊都国の中心地とされている。【柳田 康雄】。…

※「伊都国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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