上対馬町(読み)かみつしまちよう

日本歴史地名大系 「上対馬町」の解説

上対馬町
かみつしまちよう

面積:一〇七・五六平方キロ

対馬島の最北部に位置し、東は日本海、北西部は朝鮮海峡に臨む。南西部は上県町、南部はみね町と接する。北部の結石ゆうし山、南部の鳴滝なるたき山などをはじめ起伏の多い山地が海岸まで迫り、北部にとよ川・大浦おおうら川・玖須くす川、南部に舟志しゆうじ(流路延長六・六三キロ、流域面積一八・五七平方キロ)きん川・芦見あしみ川・一重ひとえ川などがあるが、流路は短く流域に形成される平野部も少ない。海岸部は琴崎・から崎・殿との崎などが突出し、町域をほぼ南北に分けるほど深く湾入した舟志湾をはじめいずみ湾・西泊にしどまり湾・大河内おおかわち湾・茂木もぎ浜など大小の入江に恵まれ、ほとんど集落は浦に臨んで形成される。北端の沖には妙見みようけん瀬戸を挟んで海栗うに島があるほか、三ッ島と総称されるきた島・たかノ島・おお島など多数の小島が連なる。国道三八二号、主要地方道の上対馬―豊玉とよたま線が通る。

当町域では縄文時代の遺物とされる石器が津和原つわはら・舟志で採集されている。弥生時代前期の埋葬遺跡が発見された泉では箱式石棺・甕棺とともに朝鮮半島から渡来したとみられる長い磨製石剣が出土、古里の塔ふるさとのとうくび遺跡では同後期の土器や北九州の広鋒青銅矛とともに伽耶系陶質土器・漢鏡などがみられる。舟志湾の朝日山あさひやま古墳は対馬の古墳時代中期の標式とされ、初期の須恵器と百済系・新羅系・伽耶系の土器や漢式鏡・鉄剣・鉄矛などが出土。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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