上里遺跡(読み)うわざといせき

日本歴史地名大系 「上里遺跡」の解説

上里遺跡
うわざといせき

[現在地名]二戸市石切所 上里

馬淵まべち川によって開析された福岡ふくおか段丘面に存在する。標高約一四〇メートル。調査は昭和五四年(一九七九)に行われ、縄文時代の住居跡一〇棟(建替えを含めると二二棟)・土壙七八基・集石群一ヵ所、平安時代の住居跡一棟・周溝遺構一〇基・溝跡一条が検出されたが、とくに土壙からは縄文人骨が発見され、当時の家族構成が判明して注目された。縄文時代の住居跡は前期が二棟、中期が七棟で、一棟は不明。形状は長楕円形長方形、楕円形・円形で、長径九メートル以上のものは四棟(前期二・中期二)、九メートル以下(六メートル以下が大部分)のものは六棟である。九メートル以上のものは大型住居跡といわれるもので、このうちの三棟に柱穴の複合が認められ、三―六期の建替えが推定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の上里遺跡の言及

【墳墓】より

…共同墓地においては遺体の姿勢・方位や副葬品の種類・有無,および骨の人類学的検討による性別・年齢別の判定とによって,その集団の社会的構成や葬られた人びとの社会的位置を追究できる可能性もある。岩手県二戸市上里遺跡(縄文時代前期)では袋状竪穴の底から7体の人骨が出土し,これらは永久歯の歯冠近遠神経の研究から夫婦とその子どもたちで,一組の二卵性双生児を含むという興味深い想定が下されている。また九州北部の弥生時代の墓地においては,中国・朝鮮製の鏡や青銅器を副葬品としてもつ被葬者が,副葬品をもたない他の被葬者と同じ墓地に同種類の甕棺(あるいは木棺)に葬られており,副葬品をたくさんもった被葬者が,あくまでも他の人びとと同じ集団の一員をなしており,隔絶して他の人々の上に立っていたのではないことが想定できる。…

※「上里遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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