下げ帯(読み)サゲオビ

デジタル大辞泉 「下げ帯」の意味・読み・例文・類語

さげ‐おび【下げ帯/提げ帯】

室町時代宮中女官などが用いた帯。幅は約20センチで、前に結んで垂らした。
江戸時代御殿女中などが夏に締めた帯。両端厚紙を入れ、背後で結んだ余り左右に張って垂らしたもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下げ帯」の意味・読み・例文・類語

さげ‐おび【下帯・提帯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸初期の婦人の帯の結び方の一つ。帯を結んでその先を垂れ下げておくこと。また、その帯。前、後、横のいずれでも結ぶ。
    1. [初出の実例]「ゆるゆると心もしたる春の比 花見小袖のうへのさげ帯(オビ)〈日能〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)一)
  3. 室町時代に宮中の女官が用いた織物の帯。三寸三分(約一〇センチメートル)幅で、前に結んで垂らす。
    1. 下帯<b>②</b>〈婦人像 大和文華館蔵〉
      下帯〈婦人像 大和文華館蔵〉
    2. [初出の実例]「今日より、女房上下、かたびらを、色々に染て着。附帯なり〈略〉俗に地白帷子さけ帯といふなり」(出典:洞中年中行事(室町)五月)
  4. 江戸中期以後、御殿女中が帷子(かたびら)を着る時に用いた帯。両端に厚紙を入れ、一重まわりで背で結び、両端をトンボのはねが張ったようにした。付帯(つけおび)
    1. [初出の実例]「鹿島の神の結び給ひし神秘有と、錦のさげ帯二筋取出させ給ひ」(出典:浄瑠璃・持統天皇歌軍法(1713)一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android