下んす(読み)クダンス

デジタル大辞泉 「下んす」の意味・読み・例文・類語

くだん・す【下んす】

[動サ特活]《「くださんす」の音変化》
「くれる」の意の尊敬語。くださいます。
「たばこ火ひとつ―・せ」〈ひとりね・上〉
補助動詞)動詞の連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて、「…てくれる」の意の尊敬語。…てくださいます。
「ああよう寄って―・した」〈浄・重井筒
[補説]はじめ近世上方かみがた遊里で使われ、のち一般の女性が用いるようになった。終止形連体形とも「くだんす」、命令形は「くだんせ」が用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「下んす」の意味・読み・例文・類語

くだん・す【下】

  1. 〘 他動詞 サ行特活 〙 ( 「くださんす」の変化した語 )
  2. [ 一 ] 近世語。「くださいます」の意の女性語。
    1. [初出の実例]「是爰なうそつき、やくそくの鼻紙はいつくだんす事ぞ」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)六)
    2. 「たばこ火ひとつくだんせ」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。「…てくだんす」の形で、「…てくださいます」の意の女性語。
    1. [初出の実例]「はてこな様さへ女ばうにしてくだんすなら、わしはどう也共」(出典:歌舞伎・当麻中将姫まんだらの由来(1698)上)
    2. 「ああいやもういふてくだんすな、〈略〉いっそしんでのけたい」(出典:浄瑠璃・曾根崎心中(1703))

下んすの語誌

( 1 )江戸時代前期に上方で遊女詞として発生し、やがて一般女性にも広まった。上方では、後期になると男性一般にも用いられたが、江戸では、後期になっても主に遊里で用いられた。
( 2 )活用は、終止形に「くだんす」とともに、「浄・長町女腹切‐下」の「聞へぬこといふてくだんする」のように、「くだんする」もみられる。

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