下回り(読み)シタマワリ

デジタル大辞泉 「下回り」の意味・読み・例文・類語

した‐まわり〔‐まはり〕【下回り】

下働き」に同じ。「商家下回りに雇われる」
歌舞伎などで、地位の低い端役を演じる役者

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下回り」の意味・読み・例文・類語

した‐まわり‥まはり【下回・下廻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. したばたらき(下働)
    1. [初出の実例]「近い頃越して来た少(わか)い夫婦が居るが、何か植木屋の下まはりだって」(出典:玄武朱雀(1898)〈泉鏡花〉八)
  3. したばたらき(下働)
  4. 歌舞伎などの端役を演ずる役者。また、芸が未熟な役者。稲荷町(いなりまち)
    1. [初出の実例]「悟空の立廻りは巧妙に過ぎて、寧ろ軽業を見る心地あり、下廻がとんぼに妙を得たる、〈略〉所詮日本劇には求め難し」(出典:東京朝日新聞‐明治三七年(1904)八月二四日)
  5. ものの下部。下の構造。
    1. [初出の実例]「安さんは下廻(シタマハ)りを頼みます、私はも一度此処を拭いて」(出典:われから(1896)〈樋口一葉〉一一)
  6. 和船の下部構造の総称
    1. [初出の実例]「古船之儀に候へば、釘切離れ、下廻り損申候」(出典:玉田文書)

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世界大百科事典(旧版)内の下回りの言及

【歌舞伎】より

…江戸時代には立役専用で,奥から座頭,立者の楽屋が並ぶ。手前の板の間の大部屋は下回りが使っていたことから,下回り役者を〈三階さん〉と呼ぶようになった。この大部屋は,楽屋内の儀式のほか,本読みや稽古などにも用いられた。…

※「下回り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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