不退(読み)フタイ

デジタル大辞泉 「不退」の意味・読み・例文・類語

ふ‐たい【不退】

《〈梵〉avinivartanīyaの訳》仏語
仏道修行の過程で、すでに得た境地から後戻りしないこと。不退転
退くことなくいつも修行すること。善根を重ねて、退いたり失ったりしないこと。不退転。

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精選版 日本国語大辞典 「不退」の意味・読み・例文・類語

ふ‐たい【不退】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. ( [梵語] avinivartanīya または avaivartika の訳語。阿鞞跋致(あびばっち)・阿惟越致(あゆいおっち)などと音訳する ) 仏語。仏道修行の過程で、功徳・善根がいよいよ増進して、もはや悪趣や二乗の位に退いたり、悟った菩薩の位を失ったりしないこと。不退転。⇔退転。〔法華義疏(7C前)〕
    1. [初出の実例]「彼の生るる所の諸の天、〈略〉皆不退の功徳を得つ」(出典:今昔物語集(1120頃か)六)
  3. 勤行(ごんぎょう)を、不断に続けること。不退転。
    1. [初出の実例]「知依不退之念力、得無漏之寿命者乎」(出典:本朝文粋(1060頃)一一・太上法皇賀玄宗法師八十齢和歌序〈紀長谷雄〉)
  4. 堅く信じて屈しないこと。不退転。
  5. 減じないこと。変わらないこと。
    1. [初出の実例]「一免除不退事 右。於当庄知行之者。一門互雖交替、至料田寄附之条者、万世不違乱」(出典:吾妻鏡‐延応元年(1239)七月一五日)

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