且つは(読み)カツハ

デジタル大辞泉 「且つは」の意味・読み・例文・類語

かつ‐は【且つは】

[副]多く、「…かつは…」「かつは…かつは…」の形で用いて)一方では。一つには。
草枕旅をよろしと思ひつつ君はあるらむとあそそには―知れども」〈・五四三〉
「見るに、―ましう、―恐しげなり」〈栄花・鳥の舞〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「且つは」の意味・読み・例文・類語

かつ‐は【且は】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 副詞「かつ」に助詞「は」の付いてできた語 )
    1. 一方では。他面では。
      1. (イ) 「…かつは…」の形で用いられる場合。
        1. [初出の実例]「草枕 旅を宜(よろ)しと 思ひつつ 君はあるらむと あそそには 且者(かつは)知れども しかすがに 黙然(もだ)もえあらねば」(出典万葉集(8C後)四・五四三)
        2. 「かかるにつけてこそ心もとまれと、かつは思しながら、めざましくつらければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
      2. (ロ) 「かつは…かつは…」の形で用いられる場合。
        1. [初出の実例]「かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥ぢ思へど」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    2. すでに。以前に。
      1. [初出の実例]「絵にもかき、心ちのあまりにいひもいひて、あなゆゆしとかつは思ひしさまにひとつたがはずおぼゆれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙かつ(且)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「我生きたりとも、母を失ては何のいさみかあらん。かつは不孝の身なるべし」(出典:古今著聞集(1254)八)

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