世知(読み)セチ

デジタル大辞泉 「世知」の意味・読み・例文・類語

せ‐ち【世知/世×智】

[名・形動]
世渡り知恵。「―にたけた人」
仏語世俗に生きる凡夫の知恵。
抜け目のないこと。けちなこと。また、そのさま。
「親の―なる事を見習ひ、八歳より墨にたもとをよごさず」〈浮・永代蔵・二〉
[類語]世才俗才

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「世知」の意味・読み・例文・類語

せ‐ち【世知・世智】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。世俗一般の知恵。
    1. [初出の実例]「しかはあれども仏法に証入すること、かならずしも人天の世智をもて出世の舟航とするにはあらず」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
    2. [その他の文献]〔大品般若経‐五〕
  3. ( 形動 ) 世の中をわたる知恵。世渡りの才能。転じて、勘定高いこと。抜け目のないこと。けちであること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「かはりたる紋をならぶる事は、いはれざる事なり、其上せちに見えて、いたくいやし」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一〇)
  4. ( 形動 ) 世渡りがむずかしいこと。困難であること。また、そのさま。世知辛い。
    1. [初出の実例]「扨々世智(セチ)な世になって、水ものめる事じゃない抔(など)と不足をいふなり」(出典:夜話荘治(1782)三)

世知の補助注記

近世になって、の意味が生じたが、中世までは、この意を表わす「世智弁」があり、形容詞形としては「せちべんない」が使われていた。これと類義で「せち」を含む複合語形には「せちがしこい」「せちがまし」「せちがらい」などがある。

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