中国の赤い星(読み)ちゅうごくのあかいほし(その他表記)Red Star Over China

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中国の赤い星」の意味・わかりやすい解説

中国の赤い星
ちゅうごくのあかいほし
Red Star Over China

アメリカ人ジャーナリスト、エドガー・スノーによる中国の西北ソビエト区および中国共産党の活動を紹介した著作。1937年刊。彼は1936年、宋慶齢(そうけいれい)の仲介で中国西北ソビエト区に潜入、命を賭(と)して単身延安に入り、それまで知られることがほとんどなかった中国共産党の実情を丹念に取材し、自らの見聞をもとに、共産党・紅軍と民衆との深い結び付きや優れた革命精神を世界に紹介して大きな反響をよんだ。日本でも1937年(昭和12)『中央公論』が掲載を始めたが、すぐに禁止された。毛沢東(もうたくとう)の来歴を叙述した「一共産主義者の来歴」の章は、現在でも毛沢東に関するもっとも信頼しうる史料として利用されており、中国の将来についての的確な見通しと相まって、今日でも名著として高く評価されている。

[古厩忠夫]

『宇佐美誠次郎訳『新版 中国の赤い星』(1964・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中国の赤い星の言及

【スノー】より

…36年に封鎖をくぐって外国人として初めて延安地区に入り,毛沢東と会見した。中国の共産党支配地区の実情を生き生きと報道した《中国の赤い星》(1937)は世界的に名声を博し,いち早く中国語に訳されて《西行漫記》の名で中国人自身に解放区の実態を知らせた。日本でも52年に全訳が刊行され,中華人民共和国を理解するうえで大きな役割を演じている。…

※「中国の赤い星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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