銀河の中を埋めつくしている中性水素ガスのとくに濃い部分をいう。電波天文学の発達により1944年から51年にかけてその存在が明らかになった。中性水素雲は,銀河の腕のところにたくさんあり,銀河系の渦巻構造が中性水素の出す21cm放射(1420MHz)の観測によってはじめて明らかになった。それまでの光学望遠鏡では,円板方向に沿っては太陽系からあまり遠くは見通せなかったのである。その後の観測によって,中性水素雲は,銀河系に存在するいろいろな原子や分子の中でもっともまんべんなく円板状ないしは渦巻状に分布していることがわかり,観測される電波の周波数の偏差(ドップラー効果)から中性水素雲の運動がわかり,それらによって,銀河系の中の一般的ガス雲の回転速度の分布や,中心に対して膨張しているリング状のアーム(腕)などが見つかった。リング状アームは銀河系の中心より約1万光年の距離にあり,約50km/sの速さで膨張している。中性水素雲の温度は50~150Kほどで,星と星の間に濃い低温のガスが存在し,このような低温ガスは収縮しやすく,新しい星の源となると考えられる。
執筆者:赤羽 賢司
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