朝日日本歴史人物事典 「中村蘭林」の解説
中村蘭林
生年:元禄10(1697)
江戸中期の漢学者。江戸の人。名は明遠,字は子晦,通称は玄春,深蔵。蘭林と号した。本姓は藤原氏。幕府医官玄悦の子。初め家業を継いで,医官として幕府に仕えたが,延享4(1747)年に儒官に転じた。室鳩巣に師事して朱子学を学んだが,のちに考証を重んじ,古学に近い立場をとり,朱子学に批判的な主張を出した。著書の数は極めて多く,中でも『学山録』と『講習余筆』は,広く世に行われ,のちの学者に大きな影響を与えた。宝暦8(1758)年に致仕し,息子敬基に遺命して,その蔵書49部を足利学校に寄付した。
(高橋昌彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報