中村要吉(読み)ナカムラ ヨウキチ

20世紀日本人名事典 「中村要吉」の解説

中村 要吉
ナカムラ ヨウキチ

明治〜昭和期の農民,アイヌ文化伝承音更町開進区長。



生年
明治13(1880)年7月

没年
昭和14(1939)年1月9日

出生地
北海道河東郡上士幌町

本名
イベチカレ

主な受賞名〔年〕
北海道教育功労者〔明治42年〕,開拓功労者

経歴
北海道音更開進コタン(集落)出身のアイヌ人。はじめ和人に奉公するが、そこで文字の存在を知って大いに衝撃を受け、のちウタリ(同族)の生活改善に乗り出す。明治31年給付地を取得して農業経営を開始。34年に音更戸長役場が開かれると、日本政府に協力してウタリの創氏改名を推進し、戸籍を整備した。次いで教育の充実をはかり、39年に庁立音更尋常小学校を開設。その運営と維持に奔走し、42年北海道教育功労者に選ばれた。また、生活環境の改善・指導にも当たり、大正7年には飲酒習慣の追放を目的とした十勝旧土人連合自治矯風会を設立し、副会長に就任。その傍らでアイヌ民俗の伝承にも力を注ぎ、帯広に伝わる「チヨマトウ伝説」の口述・記録を行った。その後、十勝旭明社理事や十勝旧土人保護法改正運動執行委員を歴任するなど、晩年までアイヌの権利獲得・生活改善に尽力

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村要吉」の解説

中村要吉 なかむら-ようきち

1880-1939 明治-昭和時代前期のアイヌ民族指導者。
明治13年7月生まれ。34年北海道十勝の音更(おとふけ)に戸長役場が開設されたのを機に,音更アイヌの戸籍整備に協力し,全員和名をつけた。またアイヌ民族の生活環境の改善につくした。昭和14年1月9日死去。60歳。北海道出身。アイヌ名はイベチカレ。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android