中東貢献策(読み)ちゅうとうこうけんさく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中東貢献策」の意味・わかりやすい解説

中東貢献策
ちゅうとうこうけんさく

1990年8月のイラクによるクウェート侵攻に対し日本がアメリカからの強い要求で,急ぎまとめた日本政府の中東危機解決への政策。医者,専門家など民間人の派遣,および難民救済をはじめとする湾岸周辺諸国に対する経済支援から成っており,その総額は約 40億ドルに達する。問題はイラクへの経済制裁を支援するための軍事的措置を含む国連決議に,日本が憲法上の制約から十分にコミットできないことであり,国内でも自民党を中心に,民間人ではなく自衛隊法を改正して防衛医官などの非戦闘要員を国連の平和維持活動に派遣すべきという意見も聞かれた。海部内閣は,アメリカの要請もあり,90年 10月の臨時国会に自衛隊員の派遣を前提とする国連平和協力法案を提出した。しかし社会党を中心に野党は,自衛隊を国連平和協力隊に組み入れることは自衛権を拡大解釈するものとして反対し,廃案となった。しかし,多国籍軍による対イラク攻撃開始後には,自衛隊機による難民輸送を政令により決め,また湾岸戦争後にはペルシア湾の機雷除去のために掃海艇を派遣した。

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