機雷など海中の爆発物の除去を主任務とする海上自衛隊の艦艇。掃海母艦を除きサイズは小さく、磁気反応による機雷爆発を防ぐため、木造のものが多い。強度や耐久性を上げる目的で、近年導入する艦艇は繊維強化プラスチック(FRP)を採用している。毎年、陸奥湾や伊勢湾、日向灘で機雷戦訓練をし、硫黄島では実物の機雷を使う。火災で沈没した「うくしま」は現役最古参クラスの木造艇で、2003年に就役した。下関基地隊(山口県)に所属している。
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水中、水底の機雷を発見、処分し、航路の安全確保を任務とした小型艦艇。軍艦の一種。初めて用いられた日露戦争から第一次世界大戦までは、水雷艇、旧式駆逐艦、トロール漁船などが掃海艇として使われ、大戦中に専用の掃海艇がイギリスをはじめ各国で建造されるようになった。これらは、繋維(けいい)式触発機雷用掃海具をもつ鋼製艇で、第二次世界大戦中まで広く建造されたが、大戦中に出現した磁気、音響、水圧の各感応機雷には役にたたず、掃海艇の構造と掃海具は抜本的に変化することとなった。第二次世界大戦後は、木製または強化プラスチック(FRP)製船体の採用、各種機器・艤装(ぎそう)品に対する非磁性金属の使用、残存磁気除去用消磁装置の設置などの非磁性化対策と、主機・補機の防振支持による水中放射雑音の低減対策を行い、磁気、音響、繋維各掃海具をもつ掃海艇が建造され、近年は無人操縦掃海艇方式のものが主流になっている。掃海具の曳航(えいこう)により、機雷を発見、起爆させるか、機雷の危険のないことを確認する掃海艇に加え、1960年代にはソナーで機雷を探知し、爆雷や遠隔操作あるいは自走式の機雷処分具により個別に爆破処分する機雷掃討艇mine hunterが出現し、この方式の艇が重視されており、通常はこの両者をあわせて掃海艇という。2008年時点で約50か国が保有している。今日の掃海艇は基準排水量500~1200トン級の航洋型、200~500トンの沿岸型、200トン以下の港湾型などに大別され、沿岸型は掃海・掃討兼用艇が普通になり、航洋型には深深度(300~1000メートル)掃海具・処分具装備のものが1980年代に出現した。
掃海艇は誕生以来、ごくわずかな例を除き、通常方式の船型である。1986年にオーストラリアが双胴船型式の機雷掃討艇を完成したが、使用実績が芳しくなく、現在これに追随する国はない。エアクッション艇ACV(air cushion craft)方式実用化の研究開発が一部の国で進められているが、ノルウェーはその一種である表面効果船SES(surface effect ship)型の機雷掃討艇を1994年に、掃海艇を1996年にそれぞれ完成、使用して各国の注目を集めた。しかし通常方式船型よりペイロード(装備搭載重量)が少なく、その後この方式の採用例はない。
[阿部安雄]
『『世界の艦船第351集 特集 新しい掃海艇』(1985・海人社)』▽『『世界の艦船第427集 特集 掃海艦艇のメカニズム』(1990・海人社)』▽『『世界の艦船第495集 特集 掃海艇の最新事情』(1995・海人社)』▽『『世界の艦船第631集 特集 新しい機雷戦』(2004・海人社)』▽『Stephen SaundersJane's Fighting Ships 2010-2011(2010, Jane's Information Group)』
機雷を処分して航路の安全を確保することを任務とする艦艇。掃海艇はその大きさおよび掃海海域によって,600トン以上の航洋型,300~500トン級の沿岸型および200トン以下の港湾型に分類される。掃海艇には掃海具を曳航して掃海する掃海艇と,ソナーによって機雷を探知し,これを個別に処分する掃討艇mine hunterとがある。沿岸型掃海艇は掃海,掃討の両機能を持つのが普通である。磁気,音響などの感応機雷を処理する掃海艇は,非磁性で水中放射雑音の少ないことが必要である。非磁性化対策として船体は木材または強化プラスチック(FRP)を用いる。主機関,補機,艤装(ぎそう)品,プロペラなどは,ステンレス,軽合金および銅合金を主として用い,磁性材料の使用を極限している。なお残存磁気を打ち消すため,主要機器および船体に消磁コイルを装備している。水中放射雑音の低減対策としては,動力機器を防振支持として直接船体に取り付けることを避けるなどの対策をとっている。
執筆者:下羽 純
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