日本歴史地名大系 「串木野市」の解説 串木野市くしきのし 面積:八〇・三五平方キロ吹上(ふきあげ)浜の北端に位置し、南は日置郡市来(いちき)町、東は薩摩郡樋脇(ひわき)町、北は川内(せんだい)市に接する。北東から南東にかけては海に面し、海岸周辺を山地が取囲む。東に冠(かんむり)岳があり、北西部一帯は標高二〇〇―五〇〇メートルの山が連なる。荒(あら)川・五反田(ごたんだ)川・大六野(だいろくの)川の流域に平地がみられ、五反田川の下流域一帯に市街地が広がる。〔原始・古代〕遺跡は海岸近くの台地や丘陵端、五反田川流域、および五反田川と八房(やふさ)川の間の台地に集中している。縄文時代の土器や石器は各地で採集されているが、表面採集による資料が多くはっきりした時期がわからない。上名の寺堀(かんみようのてらぼり)遺跡で早期の円筒土器が、同地の休左衛門堀(きゆうざえもんぼり)遺跡で前期の轟式土器が、下名の節政(しもんみようのせつまさ)遺跡で後期の市来式土器が、同地の井手下(いでした)遺跡では晩期終末期の夜臼式土器・磨製石斧などが出土。同遺跡では弥生時代後期から古墳時代前半にかけての土器も発見されている。古墳時代の土器は荒川の一ノ渡瀬(あらかわのいちのわたせ)、冠岳の野下口(かんむりだけののしたぐち)、大原(おおはる)町の永井坂(なげんさか)、上名の並松(なおんまつ)などの遺跡で採集されている。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報