中世から史料にみえ、当時は薩摩郡
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
鹿児島県薩摩半島(さつまはんとう)の北西部にあった旧市名(串木野市)。現在はいちき串木野市の北部を占める。旧串木野市は東シナ海に面する。各地に金を産し、350余年の歴史をもつ金山の町である。1950年(昭和25)市制施行。市名は冠嶽(かんむりだけ)神社の祭神櫛御気野命(くしみけぬのみこと)に由来するといわれる。2005年(平成17)日置(ひおき)郡市来町と合併、いちき串木野市となった。旧市域の北部は八重山(やえやま)山塊に連なる山地、南部はシラス台地で、中央部を五反田(ごたんだ)川が西流して東シナ海に注ぐ。海岸は、市街地以北は岩石海岸、以南は吹上浜(ふきあげはま)砂丘最北部の砂浜海岸である。JR鹿児島本線と国道3号が中央部を南北に通過するほか、串木野港からは甑島(こしきじま)列島への定期船が往復する。幕末までは薩摩における山岳仏教の一大中心地であった。串木野漁港は枕崎(まくらざき)、山川と並ぶ県三大漁港の一つで、日本で有数の遠洋マグロ漁業の基地として知られ、冷凍冷蔵庫の施設や製氷、造船、水産加工などの関連産業が活発である。とくに、かまぼこ、ちくわ、さつまあげなどの練り製品工場が多い。このほか、ハム、製薬などの工場もある。また、近世以来の歴史をもつ串木野鉱山があり、三井資本により経営されている。市街地の近くには海洋公園の長崎鼻公園や、照島(てるしま)公園があり、山地の冠岳は旧跡が多く、眺望などに優れている。
[田島康弘]
『『串木野郷土史纂考』(1957・串木野市)』▽『『串木野郷土史』(1962・串木野市)』
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