乳井神社(読み)にゆういじんじや

日本歴史地名大系 「乳井神社」の解説

乳井神社
にゆういじんじや

[現在地名]弘前市乳井 外ノ沢

矢捨やすて山山地の大館おおだて山北西麓外ノ沢そとのさわにあり、南津軽郡大鰐おおわに町と黒石市を結ぶ県道に大鳥居が面する。祭神は武甕槌命・経津主命・天手力雄命。旧郷社。

縁起によれば、延暦年間(七八二―八〇六)坂上田村麻呂の悪鬼征討に際して、南蔵坊が毘沙門天古堂ふるどう(現乳井字古堂)に勧請したことに始まるといわれ、白河天皇の承暦二年(一〇七八)南蔵坊の後裔一一代養寛が甲斐国より十二坊衆徒を引連れて来、戸隠明神・毘沙門天等を勧請し中興したという(新撰陸奥国誌)。嘉禄二年(一二二六)八月九日の僧長秀補任状(新渡戸・岩大文書)によれば、毘沙門堂別当職が栄秀から子の長秀に受継がれたことが、執権北条泰時によって承認されており、鎌倉時代より当社が続いていることを裏付けている。当社別当福王ふくおう寺は修験であり、貞応二年(一二二三)の僧栄秀寄進状(同文書)および僧栄秀譲状(同文書)では「津軽平賀郡乳井郷内福王寺并極楽寺敷地事四至」が定められており、また「両寺院主 両寺別当之職」が栄秀から「信濃公長秀」に譲られている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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