弘前市(読み)ヒロサキシ

デジタル大辞泉 「弘前市」の意味・読み・例文・類語

ひろさき‐し【弘前市】

弘前

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「弘前市」の解説

弘前市
ひろさきし

面積:二七三・四一平方キロ

市域は洪積台地である弘前台地と、台地から岩木川を越えて岩木山麓の北側地域を取り囲む形の地区とで構成される。市中心部の北西に飛地があり、目屋めや峡谷の東側、岩木川と大秋たいあき川の合流点付近に集落を形成する。弘前台地の南側には大鰐おおわに山地があり、台地から西に岩木山が望まれる。飛地を除く市域は北は北津軽郡鶴田つるた町・板柳いたやなぎ町、東と南は南津軽郡藤崎ふじさき町・田舎館いなかだて村・尾上おのえ町・平賀ひらか町・大鰐町、西は中津軽郡岩木町・相馬そうま村と接し、北西端で西津軽郡森田もりた村・鰺ヶ沢あじがさわ町に接する。北方に広がる津軽平野の扇の要の位置にある。藩政時代には大間越おおまごし(現西津軽郡岩崎村)から南部へ向かう大道筋の重要な中継点であり、秋田藩との藩境の碇ヶ関いかりがせき(現南津軽郡碇ヶ関村)へ向かう大道筋の始発点でもあって、陸上交通の要地であった。河川交通においても、浅瀬石あせいし川・ひら川・岩木川が合流する地点に近く位置するため、要衝の地であった。

弘前の呼称は城下建設以後に付けられたもので、信枚君一代之自記(国立史料館蔵)によれば、弘前の名称が用いられたのは寛永五年(一六二八)八月二〇日からであるという。

〔原始〕

市内に七七ヵ所余の考古遺跡が確認されており、そのほとんどが縄文遺跡で、多くは四つの地域に集中している。岩木山麓の北と東側地区では十腰内とこしない十面沢とつらざわ大森おおもり高杉たかすぎ中別所なかべつしよなど、北西部の市飛地である目屋峡谷では国吉くによし桜庭さくらば黒土くろつち、南側の大館おおだて山・尾開おひらき山・堂ヶ平どうがたい山・苗代なえしろ山・久渡寺くどじ山の山裾では乳井にゆうい小沢こざわ石川いしかわ一野渡いちのわたり・久渡寺など、岩木川流域の丘陵地帯では悪戸あくど下湯口しもゆぐちなどに遺跡が所在する。なかでも大森勝山おおもりかつやま遺跡からは、後期旧石器時代に属するナイフ形石器が出土し、また縄文晩期の大竪穴住居跡は、直径一三・七七メートルもある巨大な円形の遺構である。十腰内遺跡や高杉の尾上山おのえやま遺跡からは、イノシシやクマなど動物を模倣した土製品が発見された。十腰内遺跡から出土した土器は縄文後期に該当するものが多く、小沢・小友おとも遺跡からは続縄文式土器が出土した。

〔中世〕

文治五年(一一八九)の奥州合戦ののち、津軽の地にも鎌倉幕府の支配が及んだといわれ、建保七年(一二一九)には、平(曾我)広忠が平賀郡「岩楯村」(現南津軽郡平賀町岩館)の地頭代に任命され(「北条義時下文」新渡戸文書)、こののち代々曾我氏が地頭代を勤めて、平賀郡は曾我氏の支配下にあったと考えられる。

一方、鼻和はなわ郡藤崎(現南津軽郡藤崎町)には安東氏が勢力を保持し、十三とさ(現北津軽郡市浦村)に根拠を置いていた平泉ひらいずみ(現岩手県西磐井郡平泉町)藤原氏の末裔と称する豪族と角逐を繰返していたが、寛喜元年(一二二九)に安東太郎と藤原秀直が津軽野つがるの萩の台はぎのだいで戦い、敗れた藤原氏はこれ以後没落したという(「津軽家譜」東大史料編纂所蔵)


弘前市
ひろさきし

2006年2月27日:弘前市と中津軽郡岩木町・相馬村が合併
【岩木町】青森県:中津軽郡
【相馬村】青森県:中津軽郡
【弘前市】青森県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弘前市」の意味・わかりやすい解説

弘前〔市〕
ひろさき

青森県南西部,津軽平野の南部にある市。南で秋田県に接する。1889年市制。1955年に裾野村,新和村,高杉村,船沢村藤代村和徳村,豊田村,堀越村,千年村,清水村,東目屋村の 11村を,1957年には石川町をそれぞれ編入。2006年岩木町,相馬村と合体。青森県西半の経済,文化,交通の中心地。岩木川が流れ,北西に岩木山(1625m)を望む。かつて弘前藩 10万石の城下町として発達。町並みは城を中心として周囲を武家屋敷が取り囲み,その外側に町屋敷があったため,道路は鍵型や袋小路が多い。日本最大のリンゴ産地で,りんご酒,りんごジャムなどの加工も行なわれるほか,米作も盛んである。伝統的工芸品に津軽塗,こぎん刺繍,ブナ製品がある。弘前城,長勝寺,旧第五十九銀行本店本館,石場家住宅など国指定重要文化財が多いほか,瑞楽園は国の名勝に指定。岩木山北東麓の大森勝山遺跡環状列石が配されているなど縄文晩期の重要な遺跡で,2021年「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録された。このほか市域北部には水田跡が残る砂沢遺跡がある。8月1~7日に行なわれるねぷた(→ねぶた)は国の重要無形民俗文化財。岩木山一帯は津軽国定公園岩木高原県立自然公園に属する。JR奥羽本線が通り,弘前駅より弘南鉄道弘南線が分岐,黒石に通じている。弘南鉄道大鰐線,国道7号線,102号線が通り,市域南東部に東北自動車道の大鰐弘前インターチェンジがある。弘前大学がある。面積 524.20km2。人口 16万8466(2020)。

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