一般に年降水量が年蒸発量より少ない地域をいうが,蒸発量の観測が難しく,両者を直接実測値で比べることは多くの地域で不可能である。そこで,乾燥地域と湿潤地域の境界線をどこにするか,さまざまな定義が提出されている。いずれも蒸発量の代りに熱環境を表すものとして気温も用い,水環境を示す降水量との比で乾燥の度合を表現し,地球上の植生分布などから境界を定めている。たとえば,マルトンヌE.de Martonneは乾燥示数IをP/(T+10)(ここでPは降水量,Tは気温(℃))と定義し,湿潤な外洋地域と乾燥した内陸地域との境界を10とし,10以下の地域を乾燥帯とした。さらにまったく川のない無河流域と,草原と尻無川のある狭義の内陸流域の境界が5である。地球上の乾燥帯の分布は中緯度高圧帯の発達する地域に対応し,モンゴルからサハラ砂漠,メキシコ高原からコロンビア高原,ペルーからチリ北部,アフリカ南西部,オーストラリア中央低地から西部高地に達する地域などである。
執筆者:山下 脩二
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