乾燥が原因で樹木が生育しない気候。ケッペンの気候区分ではB気候に相当する。降水量が少ないだけでなく、蒸発や植生からの蒸散による地表からの水の損失が、降水による水の供給を上回る気候地域と定義できる。高温で蒸発散量が多く、かつ降水量の少ない亜熱帯気候地帯にもっとも広く乾燥気候が分布する。乾燥気候と湿潤気候の境界条件に関しては、ケッペン、マルトンヌE. de Martonne、ソーンスウェートC. W. Thornthwaite(1899―1963)などの気候学者によって提案されている。いずれの場合も地表の乾燥気候地域の観測資料によって、経験的に気温から蒸発散量を推定し、実際の降水量との比較によって境界条件を設定している。ケッペンはこの境界を乾燥限界と名づけ、乾燥限界r(センチメートル)と年平均気温t(℃)との関係をr=2(t+a)とし、aは降水の季節配分によって決まる定数で、(1)年中平均した降水のある場合a=7、(2)夏に降水が多い場合a=14、(3)冬に降水が多い場合a=0と定めた。乾燥気候地域の年降水量はrより少なく、rの半分以上の降水量の地域をステップ気候、半分以下の地域を砂漠気候とした。乾燥気候がもっとも広く分布するのは亜熱帯高圧帯に相当する緯度20~40度、大陸西岸で、世界の主要な乾燥気候はこれに分類される。ついで、ユーラシア大陸、北アメリカ大陸などの内陸で、山地に囲まれ海洋から隔たっているため生成した内陸乾燥地域、寒流や湧昇流(ゆうしょうりゅう)の海岸にできる海岸乾燥地域などがある。
[深石一夫]
年間の降水量が蒸発量より少なく,低湿度のために樹木が生育しにくく,気温の年較差よりも日較差が大きい気候。この気候帯に属する地域は全陸地の約4分の1も占めるが,年降水量が250mm未満の乾燥の厳しい砂漠気候と,夏に短い雨季をもっていて年間250~500mmの降水量を有するステップ気候に分けられる。砂漠気候下では降雨回数がきわめて少ないが,降ると激しく,その時だけ流水がみられるワジがある。植生は耐乾性のある下等植物を除いて皆無に近く,土壌も強アルカリ性の砂漠土で農耕には適さないが,部分的にオアシス農業やカナート(イラン),フォガラ(サハラ)などの利用で農業開発が進められている。ステップ気候となると,耐乾性のある丈の短い灌木や草原がみられ,肥沃なチェルノーゼムとなり,アメリカ大陸,オーストラリアやロシアなどでは乾燥農法が行われ,人工灌漑による大規模な穀物農業(小麦など),羊,牛の大企業的牧畜が行われている。
執筆者:福岡 義隆
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…乾燥帯に対する言葉で,両者の限界を乾燥限界という。W.P.ケッペンは樹木の生長に十分な雨量をもつ気候を湿潤気候,雨量が不足し,樹木が生長しえない気候を乾燥気候とよび,両者の境界を乾燥限界と定義し,年降水量と年平均気温の比較から算出した。また,降水量と蒸発量の比較から求める方法もある。…
※「乾燥気候」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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