事代主命(読み)ことしろぬしのみこと

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

事代主命
ことしろぬしのみこと

日本神話の大国主命(おおくにぬしのみこと)(大己貴神(おおなむちのかみ))の子。『古事記』でこの神が父神にかわって高天原(たかまがはら)の天照大神(あまてらすおおみかみ)の使者に国譲りの意を伝えるのは、神が神人の口を借りて託宣するという神話的表現であり、この神の託宣神的性格を示している。元来言代(ことしろ)とは神託を管掌する神人の意で、これを神格化したもっとも巨大な像が、西南大和(やまと)の賀茂(かも)氏が信奉した事代主命であった(奈良県御所(ごせ)市の鴨都波八重(かもつはやえ)事代主神社が著名)。この神はその後、国神(くにつかみ)の総帥である大国主命の御子神(みこがみ)に包摂され、託宣神としてよりも皇室の守護軍神としての性格を深めてゆく。『古事記』の国譲りの条で、大国主命が「この神が天孫の前後に立って仕えるならば従わない国神はない」と述べるのがそれで、このような皇室の守護軍神的性格は、「神功紀(じんぐうき)」、「天武(てんむ)紀」、『出雲国 造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)』にも示されている。初代天皇の神武(じんむ)、2代綏靖(すいぜい)、3代安寧(あんねい)の各天皇の皇后は、『日本書紀』によればこの神の子孫である。なおこの神は神祇官(じんぎかん)八神殿の祭神の一柱でもある。[吉井 巖]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

寒暖差アレルギー

寒暖の差により鼻の奥の毛細血管が詰まり、鼻の粘膜が腫れることで起きる鼻炎。医学的には血管運動性鼻炎の一種とされる。多くの場合秋から冬にかけて1日の寒暖差が大きい時期や冷房による急な温度変化などにより起...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

事代主命の関連情報