化学辞典 第2版 「二塩化酸化ジルコニウム」の解説
二塩化酸化ジルコニウム(Ⅳ)
ニエンカサンカジルコニウム
zirconium(Ⅳ) dichloride oxide
ZrCl2O(178.13).塩化ジルコニル(zirconyl chloride)ともいう.普通は八水和物.八水和物は構造上,[Zr4(OH)8・16H2O]Cl8・12H2Oの水酸化塩化物である.代表的な ZrⅣ化合物の一つで,市販もされている.水酸化ジルコニウム(Ⅳ)の塩酸溶液を濃縮すると八水和物が結晶として得られる.工業的には,ジルコンサンドZrSiO4をアルカリ溶融してジルコニウム酸アルカリNa2ZrO3などとし,これを塩酸で分解してつくる.八水和物は,無色の正方晶系針状結晶.密度1.91 g cm-3.150 ℃ で二水和物,200 ℃ で無水塩になり,300 ℃ 以上では分解してZrO2を生じる.水,エタノールに可溶.熱水では加水分解する.用途は,ほかのZr化合物合成の出発物質,塗料乾燥剤,はっ水剤,繊維の染色,触媒など.さらに水溶液を中和すると得られる一種の塩基性塩ポリマーは,発汗防止剤として,デオドラント製品などに用いられる.ジルコニウム化合物は労働安全衛生法の「名称等を表示すべき危険物及び有害物」である.[CAS 13520-92-8:八水和物][CAS 7699-43-6:無水塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報