裁判所、裁判長または受命裁判官が、被告人、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人、または身体検査を受ける被告人以外の者に対し、一定の日時に裁判所その他の一定の場所に出頭を命ずる強制処分をいう(刑事訴訟法57条、69条、273条2項、152条、153条、171条、178条、132条、刑事訴訟規則102条)。原則として召喚状を発してこれを送達しなければならない(同法62条、65条)。被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、または応じないおそれがあるときは、裁判所は、被告人を勾引(こういん)することができる(同法58条2号)。また被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないことは、保釈、勾留(こうりゅう)の執行停止の取消事由となる(同法96条1項1号)。召喚に応じない証人または身体検査のため召喚を受けた被告人以外の者は、さらにこれを召喚し、またはこれを勾引することができる(同法152条、135条)。代替性がないからである。
これに対して、召喚に応じない鑑定人、通訳人、翻訳人を勾引することはできない(同法171条、178条)が、これには代替性があるからである。召喚を受けた証人または身体検査を受ける被告人以外の者が正当な理由がなく出頭しないときは、過料、費用賠償、刑罰の制裁を受けることがある(同法150条、151条、133条、134条)。上告審では、公判期日に被告人を召喚することを要しない(同法409条)。なお、被告人の出頭の義務が免除されている場合の召喚は、通知の性質を有する。
[内田一郎]
裁判所が,被告人・証人・鑑定人・通訳人・翻訳人に対して,一定の日時に裁判所など指定された場所に出頭することを命ずる処分(刑事訴訟法57,150,152,171,178条)。通常は,召喚状を発し,これを送達して行うが,これらの者が出頭する旨を記載した書面を差し出し,または出頭した者に対して口頭で次回の出頭を命じたときは,その必要はない(65,153,171,178条)。召喚は,出頭の義務を課する強制処分であって,被告人または証人が正当な理由なしに召喚に応じないとき,または応じないおそれがあるときは,裁判所は,その者を勾引することができる(58,152条)。ただし,被告人は控訴審においては公判期日に出頭することを要しないとされているように(390条),出頭が免除されている場合は,召喚は,強制処分ではなく,出頭の機会を与える通知たるにとどまる。
→送達
執筆者:平川 宗信
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