二重共鳴(読み)にじゅうきょうめい(その他表記)double resonance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二重共鳴」の意味・わかりやすい解説

二重共鳴
にじゅうきょうめい
double resonance

物質中に2つの同等もしくは異なるスピンがあり,その間に相互作用がある場合,2種類の異なる周波数電磁波を用いて同時に2つのスピンの磁気共鳴を行わせること。一方のスピンの共鳴線強度,線幅などが他方の共鳴によりどのように変化するかを観測して,スピン間相互作用について研究したり,単独では観測が困難な共鳴を観測するのに使用される。最もよく利用されるのは超微細相互作用による電子核スピン二重共鳴である。これは ENDOR (electron-nuclear double resonance) と呼ばれ,核スピンを共鳴させたときに起る電子スピン共鳴の強度を観測するもので,イオン結晶中の着色中心,半導体中のドナー,不対電子の空間分布などについて知識を得るのに用いられる。他に核スピン同士の二重共鳴や,電子スピンを共鳴させたときに起る核スピン共鳴の強度を観測するもの (オーバーハウザー効果) などもある。

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化学辞典 第2版 「二重共鳴」の解説

二重共鳴
ニジュウキョウメイ
double resonance

物質内に相互作用する2種類の磁気モーメントがあるとき,周波数の違う二つの電磁波を使って,各磁気モーメントについての磁気吸収を同時に行う方法.超微細相互作用によって結合している電子スピンと核スピンの電子-核二重共鳴(エンドール)は,その典型的な例である.この方法によって,信号が微弱なために単独では観測できない核磁気共鳴でも,間接的に検出することができる.すなわち,電子スピン共鳴を観測しながら核磁気共鳴を行わせると,後者の共鳴時に前者の信号強度に変化が現れることから,核磁気共鳴が起こっていることを確認できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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