知恵蔵 「五郎丸歩」の解説
五郎丸歩
3歳でラグビーを始め、みやけヤングラガーズ、筑紫丘ラグビークラブジュニアスクールに所属。高校は佐賀県立佐賀工業高校へ進み、ラグビー部に入部する。高校時代は3年連続して花園ラグビー場で行われた全国大会に出場。チームはいずれもベスト8入りを果たしている。2004年に早稲田大学スポーツ科学部へ進学し、ラグビー蹴球部では1年からフルバックのレギュラーポジションを獲得。4年間で3度の大学日本一に貢献する。卒業後はラグビートップリーグのヤマハ発動機へと進み、2011~12シーズンは182得点で得点王、172得点でベストキッカーに。続く12~13シーズンも160得点で得点王、155得点でベストキッカーとなり、2シーズン連続して二つの個人タイトルを手にした。
大学2年生だった05年には日本代表へ選出され、同年4月16日に行われたウルグアイ代表戦に途中出場して初キャップを獲得。14年5月17日にはアジア五カ国対抗の韓国戦において17得点をマークし、キャップ対象試合通算得点426の日本代表新記録を樹立した。15年には、イングランドで行われた「ラグビーワールドカップ2015」の日本代表メンバーに選ばれ、自身初となるワールドカップに出場。チームは3勝1敗の好成績ながら勝ち点で及ばず、1次リーグで敗退となったが、その1次リーグ4試合全てにフル出場してチームに大きく貢献した。特にペナルティーゴールやトライ後のコンバージョンの際には、グラウンドにボールをティーなどで固定して蹴るプレースキックのキッカーを任され、1次リーグ4試合では単独最多の13ペナルティーゴールに成功。その際のルーティンワークにおける始動前の手の形が大きく注目され、それを真似る人が続出するなどして知名度が一気に上がる結果となった。
プレースキックのみならず、ペナルティー後のタッチキックや試合の流れの中でのキックにも光るものがある。飛距離が出るのでハーフウェイライン付近からペナルティーゴールを狙ったり、自陣ゴールエリア近辺でのピンチの場面において陣地を大きく押し戻したりするキックもよく見受けられる。
また当たりに強く、攻撃面ではライン参加して相手のディフェンスを切り裂くプレーを得意としており、守備面では特にハイボールのキャッチにうまさを見せる
(場野守泰 ライター/2015年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報