亜鈴星雲(読み)あれいせいうん(その他表記)Dumbbell Nebula

改訂新版 世界大百科事典 「亜鈴星雲」の意味・わかりやすい解説

亜鈴星雲 (あれいせいうん)
Dumbbell Nebula

M27,NGC6853。はくちょう座の南にある小さな星座こぎつね座にある惑星状星雲。惑星状星雲としてはもっとも明るく7.8等級であるので,いちばん早く1764年に発見されている。距離は720光年で比較的近く,8′×4′に広がっている。円板の両側が欠けた形で,鉄あれいに似ているので,あれい星雲と呼ばれている。中心の星がその一生の終りに,表面大気が不安定になり,全質量の半分くらいのガスを放出したものである。あれい星雲の直径は約1光年で,放出されたガスの膨張速度が毎秒40kmであるので,約3000年前に膨張を始めたことがわかる。中心に残った星の表面は10万Kもの高温で,この星の放射する紫外光によって,放出されたガスが電離され輝いている。中心の星と放出されたガス量はほぼ等しく,両者を加えた質量は太陽質量の1.2倍くらいである。このような質量の星の年齢は古く,生まれてから約100億年たっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「亜鈴星雲」の意味・わかりやすい解説

亜鈴星雲
あれいせいうん
dumbell nebula

こぎつね座にある明るい惑星状星雲(M27、NGC6853)。亜鈴状星雲ともいう。中央がくびれたように見えるその形が鉄亜鈴に似ていることからこの名前がついた。見かけの大きさは約7分角で明るさは約8等である。地球からの距離は約820光年で、実際の大きさは約1.6光年である。13.4等の中心星から数千年前に噴出したガスが、現在毎秒約30キロメートルの速度で外側に向かって広がっている。夏の天の川近くにあり、双眼鏡や小型望遠鏡でも見えるので、天体観望の好対象として人気がある。

[岡村定矩]


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百科事典マイペディア 「亜鈴星雲」の意味・わかりやすい解説

あれい(亜鈴)星雲【あれいせいうん】

M27,NGC6853。こぎつね座にある惑星状星雲。惑星状星雲としては最も明るいため(7.8等),いちばん早く1764年に発見されている。距離720光年。

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世界大百科事典(旧版)内の亜鈴星雲の言及

【星雲】より

…雲のように見える天体ということで星雲と呼ばれたが,星雲の中には,われわれの銀河系内の星間物質が光り輝いているものと,銀河系のはるか外側にあって,数十億個から数兆個の恒星の大集団であるものとの二つがあり,前者を銀河系内星雲,後者を銀河系外星雲と呼んでいた。現在では,これを区別して,銀河系内星雲を単に星雲,銀河系外星雲を銀河galaxyと呼んでいる。むろん,銀河系の外にある他の銀河にも星雲は存在し,観測されている。…

※「亜鈴星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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