京釜鉄道(読み)けいふてつどう

改訂新版 世界大百科事典 「京釜鉄道」の意味・わかりやすい解説

京釜鉄道 (けいふてつどう)

朝鮮の首都ソウル(京城)と釜山とを結ぶ全長約440kmの鉄道。この路線を軍事上重視していた日本は,1894年日清戦争勃発直後の日韓暫定合同条款で,京仁鉄道とともに敷設権を獲得した。その後日本の権利はいったん解消するが,98年には再び日本のものとなった。渋沢,大倉らが1901年に設立した京釜鉄道株式会社が事業にあたり,政府の速成命令によって1905年日露戦争中に全線開通させた。実質的に半官半民鉄道となっていたが,06年には朝鮮統監府に譲渡されて国有鉄道となった。少しのちに完成した京義鉄道(ソウル~新義州)と連結して朝鮮縦貫線の南半部を構成した。鉄道開通の結果,朝鮮内陸部と日本との経済的関係が強められていった。現在は韓国の国有鉄道となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「京釜鉄道」の意味・わかりやすい解説

京釜鉄道
けいふてつどう
Kyǒng-Bu ch'ǒlto

日本政府,財界援助のもとに,朝鮮の京城 (現ソウル) -釜山間に敷設された鉄道。光武2 (1898) 年9月,資本金 2500万円,取締役会長渋沢栄一で京釜鉄道会社が設立され,同6年8月着工,多くの紛糾を経て同8年完成した。これは日露対立の国際情勢を背景に軍事的要請によるもので,同 10年に統監府の管理となり,隆煕4 (1910) 年以後朝鮮総督府の管轄。 1945年解放後,韓国の国有鉄道となっている。中国の鉄道との連結のため広軌軌道の 1435mmとし,ソウル-釜山間 450kmをいう。

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世界大百科事典(旧版)内の京釜鉄道の言及

【鉄道】より


[植民地の鉄道建設]
 日本は日清戦争により台湾の領有と朝鮮の支配(1910年併合),そして日露戦争により中国東北(満州)への進出を実現したが,これらの植民地,勢力圏を政治的,軍事的,経済的に支配するうえで,鉄道の建設は最も重要な手段の一つであった。 朝鮮では1894年に京城~仁川間(京仁鉄道),京城~釜山間(京釜鉄道)の鉄道敷設権を獲得し,当初は民間の手で前者は1900年,後者は02年に一部開通をみた。とくに,朝鮮を縦貫する京釜鉄道は,朝鮮を統治するためだけでなく,大陸(満州)へ進出するさいの拠点ともなる鉄道であり,日露開戦が切迫した04年,政府はこれを軍事輸送に利用するため勅令を公布して速成を促し,05年完成をみた。…

※「京釜鉄道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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