今泉みね(読み)いまいずみ・みね

朝日日本歴史人物事典 「今泉みね」の解説

今泉みね

没年:昭和12.4.10(1937)
生年:安政2.3.3?(1855.4.19)
江戸末期の将軍家お抱えの蘭方医桂川甫周と妻久邇の次女。江戸生まれ。14歳で江戸幕府瓦解に遭遇し,のち,明治の医学教育の祖とされる石井謙道の世話で司法省出仕の今泉利春に嫁したが,明治27(1894)年子供を抱えて寡婦となった。81歳のおり,子息源吉の勧めで自身の半生回想口述,『名ごりの夢』と題されて出版されている。歴史に翻弄され必ずしも平穏ではなかった苦しい生涯が,老いを迎えて濾過され,少女ならではの感性と視線のもとに蘇っていて,正史に描かれない時代の一面が活写され,珠玉の維新史と評価されている。<著作>『名ごりの夢』(東洋文庫)

(本田和子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今泉みね」の解説

今泉みね いまいずみ-みね

1855-1937 幕末-昭和時代前期の女性
安政2年3月3日生まれ。7代桂川甫周の次女。明治6年今泉利春と結婚,27年死別。昭和10年81歳のとき,蘭医の家に生まれて幕末維新期を体験した半生をかたり,息子源吉が聞き書きの形で雑誌みくに」に連載,のち「名ごりの夢」にまとめられた。昭和12年4月10日死去。83歳。江戸出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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