日本大百科全書(ニッポニカ) 「仏具師」の意味・わかりやすい解説
仏具師
ぶつぐし
唐金(からかね)で仏具その他をつくる専門職人。17世紀に鋳物師から分化した。唐金は銅・錫(すず)と鉛または亜鉛の合金で、16世紀に中国から伝えられたが、17世紀には日本でつくられた。原料の唐金は鋳物師から入手して、仏具の三具足(みつぐそく)(香炉・華瓶(けびょう)・燭台(しょくだい))、金仏(かなぶつ)、薄端(うすばた)(薄手の花瓶)、薬鍋(なべ)などを加工した。仏具屋は元来自家製品を販売したが、18世紀からは自家製の仏具ばかりでなく、ほかでつくられた仏具も扱った。たとえば、木製の経机(きょうづくえ)は指物(さしもの)師、仏壇は宮殿(くうでん)師、木仏(きぶつ)は木仏師、数珠(じゅず)は数珠師がつくったものを仕入れて販売したのである。居職(いじょく)である。
[遠藤元男]